支部報紹介 2004年5・6月号 (Vol
211) より
奥山だより-5
大杉正樹
小 川のせせらぎも野山の新緑も目にまぶしい季節になりました。2 月下旬ぐらいからペアになるべく相手を探そうとそわそわしだした留鳥たちや、この春に渡ってきた夏鳥たちは繁殖期に入りさぞかし多忙な毎日のことでしょう。その多忙さとは裏腹に、私たちは美しいさえずりを聞いたり美しい姿を見て一喜一憂?し、楽しませてもらっていることと思います。
あ まり手が加えられていない方広寺境内では、カラ類を中心に何種類か繁殖していると考えます。その中でここ3 〜4 年声や姿を見かける機会が増えたのがキビタキです。市街地や住宅地などへの進出傾向が見られるようになったのもその頃あたりではなかろうかと思います。今ではオオルリが身を引いて?キビタキの方がずっと存在感があります。さえずりは朝が中心でピーク時には日中でもよく鳴き、木立を行き交う姿があります。ヒナがかえったと思われる頃さえずりはパタリとやみ、また7
月盆の頃になると再び鳴き始めます。が、渡来当初ほどに鳴かず自分の存在の確認程度で1 日数回になります。
さて6 月に入り梅雨になると小鳥たちは子育てに専念し静けさを取り戻す一方で、アジサイが新緑の野山に彩りを添えます。色とりどりというわけにはいかず、ほとんどが青か青紫。ゆえにアルカリ性土壌ということでしょうか。せっかくたくさんあるのに青系の色しかないのはもったいないなあと思うことも。でも「雨とアジサイ」という定番の風景も、しっとりとした気分で見るのも改めて“いとをかし”(趣があり)です。
でも私の思うこの時期の“大穴”的な花はシャクナゲです。(方広寺ではホソバシャクナゲと謳っているようですが)日当りは悪くガラの多い痩せた土地に植えられ気の毒だと思う反面、生命力の底力を感じます。水もしたたるいい花、雨降りが似合うのがアジサイとするならば、シャクナゲは雨が降った後の晴れた時がすこぶる輝いています。
年 によって花の数が多い少ないがありますが去年は豊作でした。さて今年はどれだけ咲かせ
てくれることでしょうか。楽しみです。
ホソバシャクナゲ 撮影6月
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